なぜ、あなたの想いは顧客に届かないのか?購買心理を理解する「思考の地図」

「これは絶対に顧客に響くはずだ」
「こんなに良い商品なのだから、きっと価値は伝わるだろう」

ビジネスをしていると、そんな風に信じて送り出した商品やサービスが、なぜか全く受け入れられない…。そんな悔しい壁にぶつかることがあると思うんです。

その根本的な原因、実はとてもシンプルなんですよね。それは、私たち「売り手」と、お客様である「買い手」が見ている世界が、全く違うからです。

この記事では、その「すれ違い」はなぜ起こるのか、そしてどうすれば顧客の本当の気持ちを理解できるのかを、具体的な失敗事例を交えながら一緒に考えていきたいと思います。あなたのビジネスに込められた大切な想いが、本当にそれを必要としている人に届くための「思考の地図」を、ここで手に入れていきましょう。

すれ違いの正体:なぜ「良いもの」が売れないのか?

多くの人が陥りがちなのが、「自分の感覚」を信じすぎてしまうことです。でも、その感覚は多くの場合、「独りよがり」になってしまっているのかもしれません。

■ 「売り手」と「買い手」の、埋めがたい溝

そもそも、商品を売る私たちと、それを買うお客様とでは、お金に対する視点が全く異なりますよね。

  • 売り手の視点: 「どうすれば、この商品を売って利益を最大化できるか?」
  • 買い手の視点: 「この商品にお金を払う価値はあるか?生活費を削ってまで買うべきだろうか…」

買い手にとって、お金を払うという行為は常にリスクを伴います。だからこそ、とても慎重になる。この当たり前の事実を、私たちはつい忘れがちになってしまうんですよね。

■ 「きっとこうだろう」という思い込みの危険

「お客様のためを思っています」という言葉は、とても大切です。でも、それが客観的なデータや知識に基づかない「思い込み」だとしたら、どうでしょうか。数人の友人から「これ、いいね!」と言われたとしても、それが市場全体の答えとは限りません。この「感覚頼り」こそが、すれ違いを生む一番の原因なんです。

顧客の心を旅する「マーケティングファネル」という地図

では、どうすればその「溝」を埋めて、お客様の本当の気持ちを理解できるのでしょうか。そのために役立つのが、先人たちが作り上げた「思考の地図」、マーケティングファネルという考え方です。

なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、大丈夫です。これは、お客様が商品を知ってから買うまでの「心の旅」を、分かりやすく図にしたものだと思ってください。お客様が今、旅のどの地点にいるのかが分かれば、私たちが次に何をすべきかも自然と見えてきますよね。

【旅の始まり:集客段階】

お客様の状態(潜在層):
まだ目的地(買う商品)を決めていません。「子供のプレゼントを探しているけど、何にしようかな…」と、そもそもジャンルすら定まっていない状態です。

私たちがすべきこと:
この段階の人に、いきなり商品の細かい話をしても心に響きません。まずは「プレゼントの選択肢として、ゲームというジャンルも面白いですよ」と、興味の入り口に立ってもらうことが大切です。

【旅の中盤:教育段階】

お客様の状態(見込み層):
「プレゼントはゲーム機にしよう!」と、ジャンルは決めたものの、どの商品にするか迷っている状態です。「SwitchとPlayStation、どっちが子供は喜ぶかな?」と、情報を集めて比較しています。

私たちがすべきこと:
ここで初めて、商品の具体的な魅力が活きてきます。「うちの商品は、あちらの商品と比べてこんなに素晴らしいんですよ」と、お客様の疑問や不安を解消しながら、その価値を丁寧に伝えていく。「教育」というと少し偉そうですが、お客様の迷いに寄り添い、最適な選択ができるようお手伝いするというイメージですね。

【旅の終わり:販売段階】

お客様の状態(顕在層):
「よし、Switchを買うぞ!」と、買う商品を心に決めている状態です。あとは「どこで、どうやって買うのが一番いいかな?」と考えています。

私たちがすべきこと:
お客様が安心してゴールテープを切れるように、背中をそっと押してあげる段階です。「当店なら、こんな特典がありますよ」と、購入への最後のひと押しをしてあげると、お客様は喜んで決断してくれるでしょう。

「地図」を持たずに遭難した、4つの企業の物語

このように、マーケティングファネルは顧客の心の旅路を理解するための、強力な「地図」になるんです。

では、もし企業がこの「地図」を持たずに、自分たちの感覚だけを頼りに航海に出てしまったら、一体どうなるのでしょうか。顧客がファネルのどの段階にいて、何を考えているのかを無視した結果、大きな失敗を招いてしまった企業の物語を、ここから見ていきたいと思います。

  1. Amazon Fire Phone -「すごい機能」が、誰の「悩み」も解決しなかった
    Amazonの「Fire Phone」は、カメラで商品を認識する機能や、裸眼3D機能などを搭載していました。しかし、お客様にとって、それは「面白いけど、別にスマホを買い換える理由にはならない」機能でした。

    【ここから見えること】
    「すごい機能」が「お客様の悩み」を解決しなければ、ただの自己満足で終わる。
  2. Windows Phone -「最高のOS」に、お客様が「当たり前に使うアプリ」がなかった
    マイクロソフトは優れたモバイルOSを開発しましたが、お客様が求めていたのは「アプリの豊富さ」でした。

    【ここから見えること】
    製品単体の良さだけでなく、お客様が普段いる「環境」も重要。
  3. 東芝 HD DVD -「安さ」で集めたお客様は、そもそも「お金を使いたくない」お客様だった
    東芝は超低価格で販売しましたが、お客様が求めていたのは「記録容量」でした。また、安さに惹かれた層はソフトにお金を払わず、ビジネスは失敗しました。

    【ここから見えること】
    価格戦略は顧客の価値観と一致しなければ逆効果。
  4. セブンペイ -「便利さ」を急ぐあまり、「安心」という土台を忘れてしまった
    決済サービス「7pay」は利便性を優先しましたが、「セキュリティ」が脆弱で信用を失いました。

    【ここから見えること】
    お客様が「当たり前」に求める土台を疎かにすると、全てが崩れ去る。

まとめ:あなたの想いを、正しく届けるために

今回紹介した4つの事例、いかがでしたでしょうか。どの企業も最高のものを届けようとしていました。それでも失敗したのは、お客様の本当の気持ちを理解する「地図」を持っていなかったからです。

大切なのは、独りよがりな「感覚」を信じるのをやめ、顧客を理解するための「地図」を手にすることです。あなたの素晴らしい商品やサービスに込められた想いが、本当にそれを必要としている人に届くように。この記事が、そのための第一歩になれば嬉しく思います。

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